それでも僕は書き続ける!!

1996年生まれの阪神ファン。プロ野球や日々の感情を文章に表す楽しみを感じながら気ままに書きます

【阪神】6.12 植田プロ入り初HR!!

 出番を求めて腐らずバットを振り続けた男に待ち受けていたのは、思いもよらないサプライズだった。

 

 

 

プロ野球が開幕して2ヶ月以上が経過した。阪神タイガースの植田海は2年連続の開幕1軍をつかみ、今日まで1度も2軍に落ちることなくチームに帯同している。だが、同じく1軍の試合に出続けている選手たちと植田には決定的な違いがある。

 

 スタメン出場が1度もないのだ。

 

 ここまで植田は代走の切り札や内野の守備固めとして、チームになくてはならない存在になりつつある。しかし、その出番はほとんどが試合の終盤だ。しかも、毎試合出られるわけではなく、その出番は厳しい展開や競った場面が多い。それは、植田の走力と守備力をベンチが大いに買っていることを表しているが、裏を返せば打撃はまだまだ課題が多いと判断されているのだろうと想像が付く。

 

 植田がスイッチヒッターになったのはプロになってからだ。プロ入り2年目の春季キャンプで当時監督だった掛布さんに勧められ、両打ちに挑戦した。

 スイッチヒッターは当然ながら右打席と左打席、両方の練習をしないといけない。そもそも感覚が全然違うらしく、あの松井稼頭央はデッドボールの避け方から練習し始めたらしい。スイッチ転向というのは並大抵の努力では成功しないのだ。

 現に同じ阪神の熊谷や江越も同じくスイッチヒッターに挑戦したが、結局やめてしまった。今は横浜でプレーする大和も、1シーズンだけスイッチヒッターになったが、横浜に移籍したシーズンの途中で左打ちを封印している。

 他の選手がスイッチを断念する中、植田だけは両打ちをやめなかった。その努力が認められたのかは分からないが、去年は金本監督の下でまとまった出場機会を与えられた。植田は阪神をわかせた両スラッガーから期待を受けていたというわけだ。

 

 今から1週間前、植田は得意の走塁で勝敗に直結するミスを犯してしまった。試合後、矢野監督は植田をかばうコメントを残したが、植田には悔しさが残ったに違いない。その悔しさをどんな形で晴らしてくれるのか、すこし楽しみにしていた。

 だがまさか、ホームランを打ってくれるとは思わなかった。まるで「去年とは違うんだぞ!」と言わんばかりの打球はグングン伸びていき、ヤフオク!ドームのホームランテラス席を越えていった。

 

 去年、大量点差で内野ゴロを打ってプロ入り初打点を挙げたときの植田はどこかバツが悪そうな苦笑いを浮かべていた。でも今日は違う。自分のバッティングでランナーを返したこと、ボールをしっかり捉えられたことに対する満足感が、その笑顔からにじみ出ているようだった。

 1軍の舞台ではじめてゆっくり1周するダイヤモンド。植田のプロ初ホームランでベンチにも笑顔の花が咲いた。