【プロ野球】過去に代打起用されたピッチャーを調べてみた
7月7日のヤクルト対中日戦、普段の試合ではなかなか見られないシーンが有りました。
岡田 → 代打・三ツ間
なんとピッチャー岡田の代打でおなじくピッチャーの三ツ間が起用されました。
このシチュエーションを説明しますと、場面は延長10回2死満塁。
1点ビハインドながら1打同点、サヨナラのチャンスです。ですが中日は残り野手をすべて使い切ってしまいました。万事休す。やむを得ず代打起用されたのがリリーフの三ツ間でした。
しかし三ツ間はリリーフ投手。打席に立つこともほぼありません。あえなくヤクルト・石山の前に空振り三振に倒れ、試合もドラゴンズが敗れました。
しかしこれは、この回ピッチャーまで打順がまわってくることを想定して動けなかった中日ベンチのミス。後味の悪い敗戦となりました。
中日ドラゴンズ 野手を全員使ってしまった為
— ドラペイ (@DragonsVideo) 2020年7月7日
代打がまさかの投手 三ツ間 pic.twitter.com/j54duMdFj2
ピッチャーのところで代打が起用されるのはセリーグおなじみの光景ですが、今回のように投手が代打に起用されるケースは極めて珍しいです。とはいえ全くないわけではありません。せっかくなので、過去に投手が代打で起用されたケースをいくつかご紹介しましょう。あ、大谷は別格なので出てきません。
2018年5月3日 笠原祥太郎(中日)
この日の中日は早めに代打攻勢をしかけていたため、残り野手が少なくなっていました。しかもこの時点ではまだ同点。延長になったときのことも考えないといけません。
延長を見越して昨日先発登板した笠原が代打に送られました。状況は1死1塁。ピンチバンターとしての起用です。ですが打球はサード川端の正面に転がり、ランナーを送ることはできませんでした。
ちなみに、この時のピッチャーは今日の三ツ間と同じヤクルト・石山でした。
2018年5月6日 風張蓮(ヤクルト)
1点ビハインドで迎えた延長10回、ヤクルトはノーアウト1,2塁のチャンスを迎えます。打順は投手の石山(いや良く出てくる!)。当然ここは代打です。しかし残り野手はケガをしている青木だけでした。ヤクルトベンチはリリーフの風張を打席に送りました。それにしてもこの風張、ものすごく打ちそうな表情をしている。
風張はバント失敗に倒れましたが、後続の打者がタイムリーを打ち、結局サヨナラ勝ちを収めています。
ちなみに風張は1度代走でも起用されたこともあります。実際はMAX150オーバーの力強いリリーフですが、謎の便利屋扱い。
2018年8月11日 吉川光夫(巨人)
延長10回ノーアウト1塁、当時クローザーを務めていたアダメスに打順が回ります。残り野手は中井がいましたが、ベンチが代打に送ったのはピッチャーの吉川でした。ここまでの吉川はバントを6回中5度成功させており、この成功率に賭けた形となります。吉川はバントを成功させ、見事チャンスを拡大しました。お見事です。
ですが後続はチャンスを活かすことができず、試合は引き分けに終わりました。
ちなみに三ツ間の前に投手で代打出場したのはこの吉川が最後です。
2018年8月3日 J.ウィーランド(横浜DeNA)
みなさんおまたせしました。真打ちの登場です。代打ピッチャーでこの方を思い浮かべた人も多いのではないでしょうか。
延長11回、2アウトながら1,2塁のチャンスを作ったベイスターズは嶺井の打順のところで代打ウィーランドを起用します。これまでご紹介したケースはいずれも投手の打順のところで別の投手を代打に送ったものでした。ウィーランドは野手の嶺井に代わって出場しています。
ウィーランドは2017年に投手ながら3本の本塁打を記録するなど、非常に打撃の良い投手として知られていました。降板する前の回に打席が回ってきても代打を送られないほどです。
この日の代打・ウィーランドはサヨナラ打を期待しての起用です。本拠地横浜スタジアムは大盛りあがり。
ピッチャーが代打に起用されたのに、広島の内野陣がマウンドに集まります。場の雰囲気も後押しして、ウィーランドは四球を選び、その後のサヨナラにつなげました。ウィーランドはこの年限りで退団しましたが、バッティングで強烈なインパクトを残した助っ人でした。
ところで代打ウィーランドはナイス采配なことに間違いないのですが、このウィーランドですらヒットを打つことができませんでした。
ではピッチャーが代打で出てきてヒットを打った例はあるのでしょうか?
2002年6月19日 桑田真澄(巨人)
ありました。さすが桑田さんです。延長11回、0アウト1塁で岡島の打順がまわってきたところで原監督は代打に桑田を送りました。
桑田はバントの構えを見せますが、初球になんとバスター!三遊間を鮮やかに破りチャンスを拡大しました。
巨人は後続にタイムリーが出て勝ち越し。延長戦を制しました。「代打投手」がヒットを打った例はこれ以降出ていません。
本来、投手が代打に出てくる場面というのはベンチの采配ミスという一面もあるので、ファンとしては喜べるものではありませ。それでも「何が起こるんだろう?」というワクワク感を秘めているのもまた事実。この日の代打・三ツ間も、中日ベンチが最前列に乗り出してなんとか決めてくれと全員でエールを送っていたのが印象的でした。
あまり見たくないけど、それでも心ざわつかせる「代打・ピッチャー」。次はどんなシチュエーションで見られるでしょうか。