それでも僕は書き続ける!!

1996年生まれの阪神ファン。プロ野球や日々の感情を文章に表す楽しみを感じながら気ままに書きます

掴めジャパニーズドリーム! J・ガンケル

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世界最高峰のベースボールリーグ、MLB。そこに在籍する選手の年俸は年々高額化している。

ダルビッシュ有と共に昨季のサイヤング賞候補に挙げられたメッツのジェイコブ・デグロムの今季の年俸は3600万ドル。日本円にしておよそ39億6000万円だ。コロナ禍により多くの球団が損益を被ったが、球界を代表する選手の年俸は天井知らずとなっている。

 

一方でMLBを目指す者たちが所属するマイナーリーグの条件はとても過酷だ。NPBの2軍よりも、独立リーグを想像してもらったほうがいいかもしれない。年俸が100万円以下の選手も珍しくないのが実情である。近年は食事やトレーニング環境の改善に力を入れているチームも多いらしく、「ハンバーガーリーグ」と言われていた頃よりは過酷ではないそうだが、華やかなMLBと比べるとその差は明らかだ。

 

阪神タイガースのJ・ガンケルも、過去にメジャー昇格を経験したことがないマイナーリーガーだった。ドラフト指名後は様々なチームを転々としたが、MLBの舞台を踏むことはできなかった。

 

マイナーリーガーの給料は、シーズンが開催されている期間「のみ」支払われている。つまり、オフは無給になる。ただでさえ低い収入が途絶えてしまうので、選手たちは職探しに走るのが一般的だ。

ガンケルは奥さんが教師だったこともあって、オフは教師として働いていた。プロ野球選手であることは、生徒たちには隠していたらしい。本当ならトレーニングに集中するか、せめて時間の融通が利く職業が良かったに違いない。だがマイナーリーガーの給与では、野球だけをする訳にはいかなかったのだ。

 

2021年のペナントレースをこれ以上無いくらいのスタートダッシュに成功したタイガース。だが先発ローテーションの枠を勝ち取ったのがチェン・ウェインでもなく、R・アルカンタラでもなく、ガンケルであることを予想できたい人はどれくらいいたのだろうか。

先発ローテ入りを期待して獲得したアルカンタラはコロナ禍の影響で来日が遅れ、チェンもオープン戦終盤の不安定な投球で2軍スタート。3番手の男ガンケルに出番が回ってきた。

 

開幕ローテの3番手に抜擢されたガンケルは、スワローズ戦で6回無失点のナイスピッチ。昨季は先発で1勝もできなかった男が、いきなり白星を手にした。もともと定評のあった制球力に加えてパワーも増したガンケルは、おもしろいように勝ち星を積み重ねていった。お立ち台での決めセリフ「タイガースファン、イツモアリガト!」も心なしか軽やかだ。

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あのR・メッセンジャーですら達成できなかった開幕からの4戦4勝。タイガースではあのT・ムーア以来だという。口ひげが特徴的だったサウスポーが10勝を挙げた2003年、タイガースは18年ぶりの栄冠に輝いた。

そういえばムーアもガンケルも打撃が良い。スワローズを突き放した3回のビッグイニングは、ガンケルのセンター前ヒットから始まった。小気味良い投球をする点も似ている気がしてきた。

これは……期待しない方が無理って話でしょう。

 

ガンケルの年俸は現在7700万円。苦労したマイナー時代に比べたらものすごい上がり幅ではあるが、同じNPBでもっと高い年俸を受け取っている助っ人はまだまだたくさんいる。

 

掴もうぜジャパニーズ・ドリーム。ガンケルが日本で夢を叶えたとき、タイガースもまた歓喜の時を迎えているに違いない。

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バントは川相昌弘臨時コーチ仕込みのジョーガンケル