それでも僕は書き続ける!!

1996年生まれの阪神ファン。プロ野球や日々の感情を文章に表す楽しみを感じながら気ままに書きます

また会えたねナバーロ【7/23 東京五輪開幕】

オリンピックの開会式が行われた。大会直前のゴタゴタ劇には正直言って辟易していた部分もあったけれど、野球の国際試合が2年ぶりに行われることは素直に嬉しい。手に汗握る数々の熱戦が見られることを楽しみにしている。

野球の日本代表チームは翌日の練習試合を控えている関係で、入場行進には参加しなかった。その代わり、という訳ではないが、僕はメキシコ代表の選手団を食い入るように見ていた。

どこだ。ナバーロはどこだ。

 

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エフレン・ナバーロ。タイガースファンなら彼の名前を懐かしく思うだろうが、一部の野球ファンにとってはその存在すら記憶の彼方へ行ってしまったかもしれない。

ナバーロはかつてタイガースに1年半だけ在籍した左打ちの助っ人だ。2018年、4番打者として大いに期待されて入団したW.ロサリオの調子が一向に上がらず、その穴埋め要員としてシーズン途中に獲得したのがナバーロだった。


この年のナバーロは1軍デビュー戦でスワローズの抑え・石山泰稚からいきなりタイムリーヒットを放つなど、上々の活躍を見せる。守備も内野と外野で安定したプレーを見せ、来季の残留を勝ち取った。

オープン戦でも本塁打を放ったナバーロは翌年の開幕戦に6番・一塁でスタメン出場する。だが開幕後は打撃で結果が出ず、故障で出遅れていた新助っ人・J.マルテと入れ替わりで2軍に降格。その後1軍に再昇格することなくオフに退団となった。

ナバーロはタイガースに加入する前からメキシコ代表に選出され、国際試合に出場した経験がある。今から2年前に開催されたプレミア12にも出場していた。
この大会でメキシコは3位決定戦に進んでアメリカを破り、オリンピックの出場権を獲得している。

3番・一塁でスタメン出場したナバーロは延長10回に試合を決めるサヨナラヒットを放った。バットを折りながらもセンター前に打球を落としたナバーロ。タイガース時代に何度も見せてくれたしぶとく勝負強いバッティングだった。
ナバーロの価値ある一打で史上初のオリンピック出場を決めたメキシコ。タイガースの選手が国の代表として世界大会に出場し、自国に初のオリンピック出場をもたらした、そのことが何とも誇らしかった。

 

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延長10回にサヨナラヒットを放つナバーロ

 

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サヨナラ勝利に歓喜するメキシコ代表


先述したとおり、タイガース2年目のナバーロはほとんど1軍の試合に出られなかった。
けれどもナバーロはそんな状況に腐ることなく、2軍で汗を流し、来る時に備えて鍛錬を続けていた。支配下登録への復帰を目指していた横田慎太郎に対して献身的な指導をしていたという話も聞いた。ナバーロは「良いヤツ」だったのだ。

関東に住んでいるとウェスタンリーグの試合を見ることが難しいので、2軍に落ちた選手の姿を見ることはなかなかできない。年に数回行わるファーム交流戦はタイガースの2軍が見られる貴重な機会だ。2019年はタイガースとスワローズのファーム交流戦がヤクルト戸田球場で行われるということで、友人と共に戸田を訪ねた。

だがこの日はあいにくの大雨。駐車場に到着した選手も濡れないよう足早に球場に向かっている。球場までの通路にはタイガースファンが連なっていたが、この悪天候では余裕がなかったか、みんなファンサービスをすることなく球場入りしていた。

だが、ひとりだけ足を止めてファンに向けてサインをし、声援に応えた選手がいた。
ナバーロだ。

そもそも外国人選手がファームの遠征に帯同するのは珍しい。昇格が目前に迫っている場合を除き、ファームの本拠地で調整するのが一般的だ。遠征に参加して大雨の中ファンサービスをしてくれたナバーロは間違いなく「良いヤツ」だった。

あれから2年、再び日本でナバーロのプレーが見られる機会が巡ってきた。結局、開会式でナバーロの姿を見つけることはできなかったけれど、きっと久しぶりの日本を楽しんでくれたはずだ。

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久しぶり。また会えたね。
日本の野球ファンにかっこいいところ見せてやろうぜ!

 

 笑顔で記念撮影をするナバーロ(右から3番目)