それでも僕は書き続ける!!

1996年生まれの阪神ファン。プロ野球や日々の感情を文章に表す楽しみを感じながら気ままに書きます

下を向いてる選手は誰もいない【10/9 対ヤクルト戦○】


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阪神ファン御用達のスポーツ紙、デイリースポーツ。中継だけでは分からないプレーの裏側はもちろん、普段なかなか知ることができない2軍情報を載せてくれる。
僕が島田海吏のことを深く知ったのは、デイリースポーツのファームコーナーだった。

 

当時ルーキーだった島田は、2軍でプロの壁に苦しんでいた。結果が出ないことに相当悩んでいたようで、鳴尾浜球場に取材に来た女性記者に「僕にバッティング教えて下さいよ……」とこぼしていたらしい。

(おいおい大丈夫かよ……)

この記事を読んだ僕は、島田が記者に愚痴をこぼすほど悩んでいることを知り、心底不安になったことをよく覚えている。

 

この年の島田はシーズン終盤に一軍昇格すると、なんとプロ初打点をサヨナラヒットで決める離れ業をやってのける。
喜びを爆発させてチームメイトから祝福を受ける島田。最下位に沈んだチームに希望の光が差し込んだ。あの赤星憲広が身に付けた背番号53が再び甲子園に戻ってきた!僕は興奮を隠せなかった。

 

だがタイガースのセンターの座を掴んだのは、この年のオフにドラフト指名された近本光司だった。

 

あれから3年が経った。
島田はファームで課題だった打撃に磨きをかけていた。10月9日現在で二軍戦の打率は.344。

女性記者に弱音を吐いていたあの頃と比べて、自信に満ちていたに違いない。
当然これだけ打っている選手を一軍が見逃すはずがない。島田は一軍に昇格した。

 

この日は守備からの途中出場。7回に初めての打席が巡ってきた。スワローズ・今野龍太の投じたボールを弾き返すと、打球はファーストベースに当たり、グラウンドを転々とした。
島田はグラウンドで両手を何度も握りしめていた。この打席にかける思いがひしひしと伝わってきた。


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打球の内容だけを見ればラッキーな当たりだと思うかもしれない。けれども、島田が強い引っ張りの打球を求めて練習していたことを、僕は知っている。
相手ピッチャーに負けない鋭い当たりを求めていたからこそ、一塁方向への打球になった。ベースに当たったのは偶然だとしても、島田が一二塁間を狙っていたのは偶然ではないはずだ。


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これぞ死闘。まさに首位攻防戦。

島田の一打で勝ち越したタイガースが、このリードを守りきった。

お立ち台にあがった島田は力強く語った。
「下を向いている人は誰もいないので」

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グラウンドでは気迫を全面に出して選手たちがプレーしていた。何度ピンチが訪れても、チャンスで相手のピッチャーに抑え込まれても、誰も下を向いていなかった。

 

見せてくれ。闘志あふれるプレーを。
見せてくれ。奇跡の逆転優勝を。

 

マジック0になるその日まで、一瞬たりとも諦めるもんか。

 

 

マジック0になるその日まで、一瞬たりとも諦めるもんか。