【都市対抗野球】7.20 東京ドーム観戦記 須田幸太は変わっていなかった
9回表、2点ビハインド。マウンドにはこの回から登板している須田。先頭打者をフライに打ち取り、ライトの松本啓二朗がボールをグラブに収めた。
・・・昔のベイスターズの試合の情景ではありません。社会人野球の頂点を決める都市対抗野球大会での光景です。
僕はこの日、東京都代表の明治安田生命と千葉市代表のJFE東日本との試合を観戦しにいきました。今年からJFE東日本には、昨年までベイスターズに在籍していた須田幸太が加入しています。さらに、大会中は補強選手としてこれまた元ベイスターズの松本啓二郎も加わっています。
▲今年からJFE東日本に在籍する須田
▲松本と須田は再びチームメイトに
社会人野球はここのところ元プロ野球選手を迎え入れる企業チームも増えてきていて、プロ野球好きの僕としては「あの選手今も頑張っているんだな」と、チェックが欠かせないコンテンツとなっています。
プロでは中継ぎ投手として花開いた須田。JFE東日本では抑えを任されています。一度負けたら終わりの都市対抗野球ですから、そのポジションにかかるプレッシャーはプロとさほど変わらない、いやむしろそれ以上かもしれません。
試合は中盤に明治安田生命が2点を先制。須田は最終回ビハインドで登板となりました。
彼がマウンドで投球練習をしているときに、僕はあることに気づきました。ベイスターズ時代の応援タオルを掲げているファンがたくさんいたのです。たとえチームを離れようとも、須田という投手を心の底から応援したい。ファンの強い思いに、なんだかジーンときてしまいました。僕横浜ファンじゃないんですけどね。
▲古巣に戻っても背番号は変わらず20です
JFE東日本としては最終回の攻撃にかけるべく、1点も失いたくない状況。須田はみごとその期待に応えてみせました。圧巻の三者凡退です。3つ目のアウトはストレートで見逃し三振を奪いました。そのストレートは、厳しいプロ野球の世界で生き延びるために須田が磨き続けてきたあのストレートそのものでした。須田は何も変わっていませんでした。
▲須田のストレートは健在でした
で、その後どうなったかというと。試合はなんとJFE東日本が逆転サヨナラ勝利。2点を取って追いついた後、須田の球を受けたキャッチャー・猪田のサヨナラ満塁ホームランで決着、サヨナラのホームを踏んだのはかつての須田の同僚・松本でした。
▲劇的勝利にJFE東日本の選手たちも喜びを爆発させる
「須田が投げたら何かが起こるかもしれない」
僕は試合後そんな風に思っていたのですが、どうやらその予感は当たってしまったようです。JFE東日本はその後劇的な勝利を積み重ね、決勝まで駒を進めました。ここまで4試合を戦っていずれのゲームも勝ち投手はなんと、須田です。野暮な話ですが、今のセリーグで7月に4勝をマークした投手はいません。
須田に関するこんなデータをまとめている方がいました。
JFE東日本 投手別援護点
— ぶるっく (@union__college) July 24, 2019
本田健一郎 11回無失点 援護1点
橘朋晃 8回 2失点 援護0点
高橋京介 7回1/3 1失点 援護2点
中林伸陽 1回2失点 援護0点
在原一稀 1回1失点 援護0点
須田幸太 14回2/3 2失点 援護14点※
※タイブレーク1試合含む
す、すごい・・・パワプロだったら勝ち運3重丸くらいついてそうです。
決勝に集いしTBSベイスターズ戦士たち
JFE東日本と決勝で戦うのはトヨタ自動車。過去には埼玉西武・源田やロッテ・藤岡裕を輩出したこともある実力あるチームです。
実はこのチームにもかつてベイスターズに所属したことのある選手が1人います。それは細山田武史です。彼はソフトバンクから戦力外通告を受けた後、トヨタ自動車に在籍して2016年シーズンからプレーしています。
須田と松本、そして細山田。この3人には同級生で早稲田大学出身という共通点があります。まさかこの3人が都市対抗の決勝で勢ぞろいするなんて、誰が想像したでしょうか。
都市対抗野球のMVPは橋戸賞と呼ばれています。昨年は阪神の近本が受賞するなど、プロ野球選手を目指す人が受賞してきたこの橋戸賞ですが、元プロ野球選手が過去に受賞したことは未だありません。もしJFE東日本が優勝すれば、ここまで4賞をマークしている須田が選ばれる可能性は非常に高いです。
細山田と松本、そして須田が対峙する決勝戦、都市対抗野球ファンのみならずプロ野球ファンも注目の一戦は、今日午後6時プレイボールです。
都市対抗は当日行ってもチケット買えますよ~!!