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1996年生まれの阪神ファン。プロ野球や日々の感情を文章に表す楽しみを感じながら気ままに書きます

【野球コラム】メッセンジャーの引退から過去の助っ人外国人の引退を回想してみる

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今日はランディ・メッセンジャー引退試合です。

 ひとりの選手の入団からその後現役を全うするまでを共にたどることができる、プロ野球の良いところはこんなところにもあるのではないかと僕は


考えています。高校野球大学野球はたとえ優れていたとしても卒業と同時にチームを離れますし、社会人野球はプロのような引退試合を華々しくやることはありません。

 

 でも……助っ人外国人の場合は、入団から現役の最後を一緒にたどることはほぼできません。1年1年が勝負の外国人ですから、当然成績が伴わなかった場合は契約の解除を言い渡され、その後を追うのが難しくなります。

 だからこそ、活躍してほしいと願うのですが、活躍しすぎるとGマイコラスやFマーティンのようにMLBからオファーが来たりしてチームを去ってしまう。助っ人外国人好きは、常に別れの時が来ることを覚悟しながら、NPBの活躍を応援しているような気がします。というか、僕がそうなんですけど。ああああナバーロ……(先日帰国)

 

 そんな出会いと別れの連続の助っ人外国人ですが、阪神タイガースは比較的長く在籍してくれる選手がここ数年では何人かいました。

 

 まず、“稀代のヒットメーカー“ マット・マートン。電撃引退した赤星憲広さんの穴を埋めるべく獲得されたマートンは初年度からヒットを量産。イチローさんが持つシーズン安打記録を更新してみせました。2014年には首位打者を獲得。阪神のCS突破に貢献しました。彼は2010年から2015年まで6年間在籍。日本の牛丼が大好きな愛すべき助っ人でした。

 

 そして、“鉄腕リリーバー”ジェフ・ウィリアムス。2003年に中継ぎ候補として獲得されると、クローザーに抜擢されチームの優勝に貢献。2005年以降は藤川球児投手、久保田智之さんと共に鉄壁のリリーフ陣「JFK」を形成。サイドハンドから放たれるスライダーはまさに魔球でした。タイガースの助っ人投手で初めて複数年契約を結び、信頼を勝ち取った投手でもあります。彼は2003年から2009年まで7年間在籍しました。

 

 NPBではタイガースにしか在籍せず、マートンはCS突破、ウィリアムスは2度の優勝に貢献しました。タイガースの歴史に残る外国人であることに異論はないでしょう。

 

 しかし、彼らは引退試合をやりませんでした。2人とも現役続行を希望したという自助もありますが(マートンカブス傘下へ、ウィリアムスは故障が癒えず翌年引退)、ファンが彼らと別れを惜しむ機会がなかったのは事実です。それだけ助っ人外国人というものははかないのです。

 

 そもそも、外国人がNPB引退試合をやってもらったことなんて、あるのでしょうか。

 

 どうやら、ひとりだけいるようです。

 

1985年、中日ドラゴンズに在籍するケン・モッカ内野手は若手育成を目的とするチームの方針により、来期の構想から外れることとなりました。シーズン終盤、ペナントレースが行われている最中の通告だったようです。モッカはこれを了承しますが、「最後の巨人戦までは置いていてほしい」と懇願。1982年のリーグ優勝の功労者でもあるモッカの願いを球団は聞き入れることにしました。

そして迎えた巨人との最終戦。モッカは代打で登場すると球場は大盛り上がり。打席のみの予定でしたが、あまりにも盛り上がったので守備にも就きました。そして試合は大勝。試合後のマウンド上には選手たちの輪ができて、モッカは宙を舞いました。彼は4年間ドラゴンズに在籍しましたが、日本の文化に対して勉強熱心でチームメイトからも非常に慕われていたそうです。

 

 それと、「引退試合」ではありませんが今年のマツダスタジアムで行われたブラッド・エルドレッドのセレモニーも感動的でした。

 昨シーズン限りで広島を去ったエルドレッドは今年現役を引退することをカープに報告。駐米スカウトに就任することが決定しました。そして、球団はエルドレッドの引退セレモニーを試合後に実施することを発表。カープ時代にスタジアム通いをするのに使っていた自転車で登場し、ファンをわかせました。

 試合後はエルドレッドのスピーチも行われ、通訳を通してカープや家族への感謝を述べました。通訳が彼の言葉をファンに伝えながら、時折言葉を詰まらせて、それでも最後まで職務を全うする姿がとても印象的でした。

 

 2人ともチームのために戦い、チームメイトからファンから愛された助っ人外国人の華々しい最後として、素晴らしいケースを示してくれたと思います。

 

 今日はランディ・メッセンジャー引退試合です。

各球団で感動的な引退試合が開かれていますが、メッセンジャーのような助っ人外国人が引退試合をするのは本当に稀だということをここまで解説してきました(メッセはもう助っ人外国人とかそういう括りにしなくてもいいんじゃないかって思う部分もあるのですがそれはまた別の機会に)。

一般的な引退試合はその選手が試合に出場して、最後はファンに別れの言葉を伝えますが、この両方が今日行われた場合、メッセンジャーは「引退試合をしてもらってなおかつスピーチをした史上初めての外国人選手」となります。これは本当に誇らしいことです。

 

 常に闘志を前面に出して戦う姿が印象的でした。それゆえ自分のふがいない投球にショックを受けたり、味方が打ち込まれて浮かべる悲しい表情も結構印象に残っています。

 最後は笑って終わってほしい。彼に、タイガースでの野球人生は本当に楽しかったと思ってほしい。最後のマウンドで彼は何を見せてくれるのでしょうか。彼のことを想像するだけで実はもう目がウルウルしそうなのですが、ちゃんと目に焼き付けてこようと思います。

 

 あなたのプロ野球人生を共にたどれて本当に幸せでした。最後まで見届けます。だから楽しんできてね。僕も楽しみます。