それでも僕は書き続ける!!

1996年生まれの阪神ファン。プロ野球や日々の感情を文章に表す楽しみを感じながら気ままに書きます

この大歓声が答えさ 陽川尚将

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去年の秋、タイガースがCS進出のために1つも負けられない戦いをしている頃、僕は3塁側のアルプス席にいた。

0対0で迎えた5回裏。背番号55が代打に告げられた。陽川尚将の登場曲を聞いたのはこの時が初めてだった。

 

 

間違いじゃなかった あの日出した答えは

お前はバットに俺はこのマイクに すべてをかけてきたんだ

ここに立って分かった この大歓声が答えさ

時が戻って あの日になっても この道を選ぶんだろう

 

聞いたことない曲だな。アップテンポではないが、リズムを意識した歌詞がすんなりと入ってくる。なんでも陽川と個人的に親交のある「強(つよし)」というアーティストが歌っているらしい。陽川がプロ初ホームランを甲子園で打ったことを記念して作られた曲のようだ。

 

この日、試合の均衡を破る代打ホームランを打ったこともあって、陽川の登場曲は僕の記憶に強く刻まれた。

 

 

昨季の陽川は28試合で打率.109だ。CSへ望みをつなぐ貴重な代打ホームランはあったが、シーズンを通しての活躍は全くできなかったと言っていい。

新加入の助っ人を中心とした重量打線が注目されている中で、陽川は目立たない存在だった。

 

でもオープン戦では2本のホームランに加えて打率4割。開幕延期が決まった後の練習試合でもアピールを続けていた。去年とは違う、今年は良いものを見せてくれる。確かな根拠はなかったけど、そう思っていた。

 

 

大規模イベントの入場制限緩和に向け、観客を満席近くまで入れる実証実験が横浜スタジアムで始まった。コロナウィルスの実証実験のためとはいえ、多くのお客さんが戻ってくるのは素直に嬉しい。

実験初日の10月30日は、気温が低くなったこともあって客足が伸びなかったが、野球日和となった翌日は多くのファンが集まった。外野やウィングは空席が目立ったが、バックネット席を中心に内野席はほぼ満員だった。僕の座った1塁内野席も青いユニフォームで染まっていた。

 

この日の陽川は6番・ライトでスタメン出場。見せ場はいきなり初回にやってきた。

 

2死満塁のチャンス。フルスイングで打球を捉えた瞬間、歓声と悲鳴が入り混じった。日差しがまぶしくて打球の行方は見失ったが、悠々とグラウンドを回る姿を見て何が起こったかすぐに分かった。

ゆっくりと本塁に帰ってくる陽川の後ろで阪神ファンが大喜びしているのが見えて、僕も嬉しくなった。

 

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▲陽川の放った打球はレフトスタンドへ

 

久々にたくさんのお客さんの入ったハマスタ歓喜の渦が巻き起こるなか、僕は陽川の登場曲を思い出していた。

 

間違いじゃなかった あの日出した答えは

ここに立って分かった この大歓声が答えさ

 

プロ入り7年目で初めての満塁ホームラン。あの曲の名前なんだったけなあ。

……そうだ。「グランドスラム」だ。

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▲ゴリラポーズで迎えられる陽川

 

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