エースに黒星は似合わない 西勇輝
阪神タイガース・西勇輝を助けられた回数と、助けてもらった回数。どちらが多いかと聞かれたら間違いなく助けてもらった回数が多い。
リリーフでつないで勝ちを拾っていくタイガースの中でイニング数を淡々と稼いでいく西のありがたさは計り知れない。ブルペンデーを前日に控えている試合の先発でも「今日は中継ぎ使わないんでしょ?」と言わんばかりにスイスイと投げていく。打席に立っても粘って球数は稼ぐし、送りバントは確実に決めてチャンスを広げてくれる。
投球以外でも頼もしい姿。こういうのをエースというのだろう。
去年のCS1stステージ。初戦の先発はもちろんエースの西だ。
だがDeNA・筒香嘉智に先制3ランを浴びたのち、打球が足に直撃した。1アウトも取れずに交代。負傷によるアクシデント交代とはいえ、こんな早くに西が降りるとは。
でもこの試合は勝った。何人ものリリーフをつぎこんでつないできた投手リレー。終盤に執念が実って最大で6点あった点差をひっくり返した。逆転の3塁打を放って塁上でガッツポーズしていた北條史也の姿が記憶に新しい。
11月5日の試合(甲子園・ヤクルト戦)も西は早々に打ち込まれて降板しまったが、
あの日のCSのようにリリーフ陣の頑張りと、打線のおかげで逆転できた。
今日も西を負け投手にさせずに済んだ。
いつも助けてもらっているけど、こんな日もありますわな!
味方が追いついてくれたとき、ベンチで西は何を思っていただろうか。「みんなのおかげで負けずに済んだ~」。
いや、インタビューでも責任感の強さをうかがわせる彼のことだ。「早めに降りちゃって申し訳ない。楽に勝てたかもしれないのに」と思っているかも。
西のおかげで巨人にも勝てた。リリーフを使わずに勝てた。厳しい試合だったけど勝てた。西のおかげで勝てた試合がたくさんある。
それでも誰かのミスをカバーして勝つのがチームだ。
たまにはチームが西を救ってくれることもある。こんな日があってもいいじゃないか。
西さん、タイガースっていいチームでしょ?
西→馬場とつないで、3回の頭から登板した谷川昌希。
試合の主導権を取り戻せたのは、彼の好投があったから。この日の勝利は彼のピッチング無しには語れないだろう。
10月11月は無失点。3年目右腕が頼れるリリーフとして開花しようとしている。