それでも僕は書き続ける!!

1996年生まれの阪神ファン。プロ野球や日々の感情を文章に表す楽しみを感じながら気ままに書きます

あれがウチのセットアッパーだから【8/7 対アメリカ戦○】

ペナントレースでしのぎを削りあう選手たちが、1つの目標に向かって結束する国際大会。普段は交わらない選手たちが引き起こす化学反応に、その面白さが詰まっていると思う。巨人と阪神の選手が手を組む様子はなんだか、バトルマンガの最終盤でライバルが仲間になる展開のようで激アツだ。
その一方で、自分の応援しているチームから日本代表選手が選ばれたときは、まるで子供を送り出す親のような気持ちになる人も多いのではないだろうか。

結果を残せなくて叩かれるのは怖いけど、活躍したら何だか自分のことのように嬉しい。「シーズン中もこの選手が味方として戦ってくれるんだぜ!」って思わず自慢したくなる高揚感。ペナントレース中にはあまり出てこない感情だ。

 

 



山田が、栗林が、山本由伸が。
この東京オリンピックでも代表選手が活躍する度、SNSには「ウチの子自慢」が飛び交っていた。投稿している人の顔は見えないけれど、みな幸せそうな表情をしているのが目に浮かんだ。


―羨ましくない、と言ったら嘘になる。


決勝までの4試合、タイガース勢はお世辞にも目立った活躍はできていなかった。
梅野隆太郎は1試合の出場でノーヒット。岩崎優は厳しい場面で難しい登板だったとはいえ、バファローズ・山本の勝ちを消してしまった。青柳晃洋は2試合に救援していずれも複数失点を喫している。もちろんグラウンド外での貢献もあるのだろうけど、ほかのチームの選手の活躍と比べてしまうと心がざわつく自分がいた。

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緊張感で胃袋がせり上がりそうな決勝戦は、スワローズ・村上宗隆の先制ホームランで幕を開けた。この日ほど村上のバットに感謝した日もない。スワローズファンが自慢したくなるのも分かる。こんな若きスラッガーがいたら、何回自慢したって足りない。

その後は両チーム得点が入らず、1点リードのまま試合が進んだ。回を追うごとに息苦しくて呼吸がしづらい、そんな雰囲気を感じた。岩崎の出番がないまま、試合は8回に突入した。

先頭打者は2番のT.オースティン。ハマスタでの野球を最も知る男が追い込まれながらも変化球をレフト前に運んだ。
続くバッターは青柳からホームランを放ったT.カサス。点差は未だ1点。この試合最大の山場を迎えようとしているのは、誰の目にも明らかだった。稲葉篤紀監督がゆっくりグラウンドに出てきた。

監督が誰の名前を告げたのかは分からなかったけど、この場面で起用するピッチャーは―――「彼」しかいないだろう。心臓の鼓動が激しくなる。背番号13がゆっくりマウンドにやってきた。

見ているこっちが緊張でつぶれそうな場面でも、岩崎はいつも通りの表情だ。きわどいコースをボール判定されても、その表情は全く変わらない。フルカウントから投じた6球目。何度も打者を惑わしてきた外のスライダーで空振りを奪った。僕は思わず立ち上がって拳を握りしめていた。岩崎の表情は変わらない。

4番・T.フレイジャー。低めのチェンジアップを打たせた。ショートフライ。ジャイアンツ・坂本勇人のミットに収まった。この男のところに打たせれば何の心配もいらないこと、阪神ファンが1番分かってる。

5番・E.フレイジャーの打球は2球でサードゴロに仕留めた。
先頭打者を出したアメリカ打線を完全に寄せ付けなかった。この日最大の山場で、「タイガースの岩崎」が抑えた!

 

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すごいよね。
あれ、ウチのセットアッパーなんだよ。
やっと、やっと、胸を張って言えた気がした。

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梅ちゃん。ヤギさん。ザキさん。みんな金メダルおめでとう。
阪神タイガースから初めての金メダリスト。一生忘れません。