それでも僕は書き続ける!!

1996年生まれの阪神ファン。プロ野球や日々の感情を文章に表す楽しみを感じながら気ままに書きます

1点差、熊谷敬宥の盗塁で重い雰囲気は消え去った【5.11甲子園 ▲】

4月13日、甲子園には雨が降り注いでいた。阪神園芸の力をもってしてもグラウンドコンディションが整わないということで、試合は中止。1日の楽しみがなくなってしまった。

 

「代わりに何を見ようかな……」

 

タブレットでスカパー!プロ野球セットのアプリを開く。おっ、2軍戦もやってるのか。いつもなら午後から開催されている2軍戦だが、この日は京セラドーム大阪で18時からおこなわれることになっていた。

小幡竜平や井上広大に新人の高寺望夢もスタメンで出ている。未来のタイガースを担う希望あふれる選手たちが必死にプレーしている。

 

序盤の3回、僕はすぐに異変に気づいた。

 

(なんで熊谷がいるんだ?)

 

 

この回からライトの守備に入ったのは、甲子園にいたはずの熊谷敬宥だった。1軍で出番がなかなか来ない選手が調整も兼ねて午後は鳴尾浜の2軍戦、夜は甲子園の1軍戦に出るケースはたしかに珍しくない。

 

だがこの日は1軍も2軍もナイターゲーム。甲子園の中止が決まってから、京セラに移動してきたというのか。

 

試合を最後まで見ていたが、途中から出場した他の1軍選手はいなかった。おそらく、熊谷が出場を直訴したのだろう。この日は3打席立ってヒットを1本。彼の野球にかける姿勢の変化を見たような気がした。

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熊谷の1軍での役割は守備固めと代走。その姿を見られる時間は1試合で10分に満たない日もある。

それでも、今日の熊谷は最高に輝いていた。

 

3対4の7回。2アウトから代打の原口文仁がヒットで出塁した。ベンチから背番号4が颯爽と一塁に向かう。『代走・熊谷敬宥』は勝負をかけるサインだ。

 

中日・福敬登の初球。待ってましたと言わんばかりに熊谷は最高のスタートを切った。結果はもちろんセーフ。福のモーションを完全に盗んだ。

 

熊谷の盗塁でチャンスを広げた阪神は2アウト1,2塁から糸原健斗のしぶといタイムリーが飛び出し、同点に追いついた。序盤に西勇輝が4失点しただけに、価値ある同点打だった。

 

代走からの盗塁は決して簡単なものではない。2割5分成功すれば上出来と言われる代打と違って100%成功させなくてはならないのが代走だ。

そんな熊谷は今季盗塁を4回企図して、全て成功させている。

矢野監督がよく口にする「最後まで諦めない姿勢」。その雰囲気をもたらしたのは熊谷の足だった。

 

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試合終盤にアナウンスされる「代走・熊谷」。

ベンチもファンも「まだまだここからだ!」って気持ちにさせてくれる。