それでも僕は書き続ける!!

1996年生まれの阪神ファン。プロ野球や日々の感情を文章に表す楽しみを感じながら気ままに書きます

26 + 74 = 100【9/10 対広島戦○】

この10年間で最も印象に残ったシーズンはいつ?」という質問があったら、僕は間髪入れずに「2014年」と答えるだろう。

この年のタイガースはペナントレースこそジャイアンツに及ばず2位だったが、その後のCSで驚異的な実力を発揮。実力をつけはじめていたカープ相手に2連勝を飾ると、1位ジャイアンツとのファイナルステージでも快勝。なんと4連勝で一気に日本シリーズ進出を決めてみせた。
シーズン中ずっと悔しい思いをしたジャイアンツ相手に大暴れするタイガースの選手たちが、本当に頼もしかった。R.メッセンジャー、M.マートン、M.ゴメス、呉昇桓の助っ人外国人たちの活躍も素晴らしかった。

だけど、2014年が最も印象に残ったと思う理由はタイガースだけじゃない。
この年のオリックス・バファローズが忘れられないのだ。

 

 

バファローズは前年5位に終わったこともあり、前評判は決して高くなかった。だが開幕直後のスタートダッシュに成功し、前半戦を首位で折り返す。比嘉幹貴馬原孝浩佐藤達也平野佳寿らのブルペン陣が盤石な投球でリードを守った試合が印象的だった。
だが2位のホークスも驚異的な追い上げを見せ、熾烈な首位争いはシーズン終盤まで繰り広げられた。

そして10月2日。
バファローズはホークスとの直接対決に破れ、あと一歩のところで優勝を逃した。延長10回、サヨナラ負けでの決着だった。打球がフェアゾーンに抜けていくのを見て膝から崩れ落ちる原拓也、ベンチで呆然とする糸井嘉男、涙が溢れて止まらなかった伊藤光、……バファローズの選手たちが見せた表情や仕草は、当時高校生だった僕の記憶に深く刻まれた。


文春野球コラムでバファローズ担当をされている田中大貴アナウンサーが、10月2日の試合後にあった話をコラムにしていた。

2014年10月2日、オリックスが優勝を逃した夜、糸井、金子、柳田が集まって話したこと


この年の金子千尋と糸井はすごかった。
だが西勇輝の存在も忘れてはならない。西は開幕8試合8勝の球団記録を達成する最高の走り出し。前半戦までに11勝を挙げ、オールスターのファン投票では金子をおさえて先発部門1位に輝いた。バファローズの躍進を支えたのは間違いなく西のピッチングだった。
このまま順調に白星を積み上げていくかと思われた西だったが、後半戦になると失速。わずか1勝しかできず、12勝10敗でシーズンを終えた。わずかな差で優勝を逃しただけに、「自分が後半戦もっと勝てていたら……」という悔しい思いもきっと持っていたはずだ。

あれから7年が経ち、西はタイガースに移籍した。そしてこの日の試合でプロ通算100勝目を掴んだ。達成に王手をかけてから8度目の挑戦だった。負けが続いても、西の強気な姿勢は消えていなかった。強気だけど慎重に。決して間違えず、ていねいに。西らしさの詰まったピッチングだった。
タイガースであげた26個目の白星。そしてバファローズで掴んだ74個の白星。バファローズで喜び、悔しんだ過去があって、今の西がある。

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阪神タイガース西勇輝




通算100勝が目前に迫った9回の守り。ベンチに座る西の隣には糸井がいた。バファローズ時代を知る仲間同士でどんな話をしていたのだろう。当時若手だった西は30歳になり、チームの中心だった糸井は40歳を迎えた。いくら超人の糸井とはいえ、ふたりが揃って優勝できるチャンスはもう多くない。

西の粘りが呼び込んだ勝利で、チームは両リーグ60勝一番乗り。目指すゴールが見えてきた。

 

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阪神タイガース公式インスタグラムより

https://www.instagram.com/p/CTpJzE4P7yb/?utm_source=ig_web_button_share_sheet

 

叶うべき夢の先へ― 糸井と西に優勝の喜びを味わってほしい。

僕の願いはそれだけだ。

 

注)糸井は試合が終わって早々に球場を後にしてしまったので西の記念写真に写り損ねました