それでも僕は書き続ける!!

1996年生まれの阪神ファン。プロ野球や日々の感情を文章に表す楽しみを感じながら気ままに書きます

26 + 74 = 100【9/10 対広島戦○】

この10年間で最も印象に残ったシーズンはいつ?」という質問があったら、僕は間髪入れずに「2014年」と答えるだろう。

この年のタイガースはペナントレースこそジャイアンツに及ばず2位だったが、その後のCSで驚異的な実力を発揮。実力をつけはじめていたカープ相手に2連勝を飾ると、1位ジャイアンツとのファイナルステージでも快勝。なんと4連勝で一気に日本シリーズ進出を決めてみせた。
シーズン中ずっと悔しい思いをしたジャイアンツ相手に大暴れするタイガースの選手たちが、本当に頼もしかった。R.メッセンジャー、M.マートン、M.ゴメス、呉昇桓の助っ人外国人たちの活躍も素晴らしかった。

だけど、2014年が最も印象に残ったと思う理由はタイガースだけじゃない。
この年のオリックス・バファローズが忘れられないのだ。

 

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反撃ムードを呼び込んだ一平ちゃん【9/5 対巨人戦▲】

一平ちゃんが帰ってきた。

東海大学九州キャンパスから阪神タイガースに入団した小川一平のことだ。
西純矢、井上広大、及川雅貴、甲子園で印象的な活躍を残した高校生を多数獲得した2019年のドラフトで最後に指名された投手だ。

昨年はオープン戦からアピールを続け、新人選手で唯一の開幕一軍入り。ペナントレース2戦目の対ジャイアンツ戦で出番が巡ってきた。
オープン戦はほぼ完璧なピッチングを続けていた小川だったが、2アウトしか取れずに5失点。その後も安定した投球は披露できず、インパクトは残せなかった。

 

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右手を掲げる大山悠輔【9/4 対巨人戦○】

大山悠輔の打球が!
レフトスタンドに!飛び込んだ!
逆転サヨナラ!!

泣いていいですか。

これ。涙なしに見られますか。

込み上げるもの。押さえられますか。

 

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強い気持ちで”夢拓け”【9/3 対巨人戦○】

阪神タイガースの中野拓夢は、幼い頃から阪神ファンだったそうだ。

山形県の出身だが、お父さんの影響で阪神に興味を持ち、一緒に応援するようになった。「阪神ファン・中野」のお気に入りは強打の内野手今岡誠。2003年と2005年、2度の優勝に貢献した天才打者だ。
好きな選手が同じだったことに、つい親近感を覚えてしまう。同じ年代の選手を応援していた人が甲子園のグラウンドに立っている。なんだか不思議な気分だ。

 

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阪神タイガース・中野拓夢選手

 

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あれがウチのセットアッパーだから【8/7 対アメリカ戦○】

ペナントレースでしのぎを削りあう選手たちが、1つの目標に向かって結束する国際大会。普段は交わらない選手たちが引き起こす化学反応に、その面白さが詰まっていると思う。巨人と阪神の選手が手を組む様子はなんだか、バトルマンガの最終盤でライバルが仲間になる展開のようで激アツだ。
その一方で、自分の応援しているチームから日本代表選手が選ばれたときは、まるで子供を送り出す親のような気持ちになる人も多いのではないだろうか。

結果を残せなくて叩かれるのは怖いけど、活躍したら何だか自分のことのように嬉しい。「シーズン中もこの選手が味方として戦ってくれるんだぜ!」って思わず自慢したくなる高揚感。ペナントレース中にはあまり出てこない感情だ。

 

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また会えたねナバーロ【7/23 東京五輪開幕】

オリンピックの開会式が行われた。大会直前のゴタゴタ劇には正直言って辟易していた部分もあったけれど、野球の国際試合が2年ぶりに行われることは素直に嬉しい。手に汗握る数々の熱戦が見られることを楽しみにしている。

野球の日本代表チームは翌日の練習試合を控えている関係で、入場行進には参加しなかった。その代わり、という訳ではないが、僕はメキシコ代表の選手団を食い入るように見ていた。

どこだ。ナバーロはどこだ。

 

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エフレン・ナバーロ。タイガースファンなら彼の名前を懐かしく思うだろうが、一部の野球ファンにとってはその存在すら記憶の彼方へ行ってしまったかもしれない。

ナバーロはかつてタイガースに1年半だけ在籍した左打ちの助っ人だ。2018年、4番打者として大いに期待されて入団したW.ロサリオの調子が一向に上がらず、その穴埋め要員としてシーズン途中に獲得したのがナバーロだった。


この年のナバーロは1軍デビュー戦でスワローズの抑え・石山泰稚からいきなりタイムリーヒットを放つなど、上々の活躍を見せる。守備も内野と外野で安定したプレーを見せ、来季の残留を勝ち取った。

オープン戦でも本塁打を放ったナバーロは翌年の開幕戦に6番・一塁でスタメン出場する。だが開幕後は打撃で結果が出ず、故障で出遅れていた新助っ人・J.マルテと入れ替わりで2軍に降格。その後1軍に再昇格することなくオフに退団となった。

ナバーロはタイガースに加入する前からメキシコ代表に選出され、国際試合に出場した経験がある。今から2年前に開催されたプレミア12にも出場していた。
この大会でメキシコは3位決定戦に進んでアメリカを破り、オリンピックの出場権を獲得している。

3番・一塁でスタメン出場したナバーロは延長10回に試合を決めるサヨナラヒットを放った。バットを折りながらもセンター前に打球を落としたナバーロ。タイガース時代に何度も見せてくれたしぶとく勝負強いバッティングだった。
ナバーロの価値ある一打で史上初のオリンピック出場を決めたメキシコ。タイガースの選手が国の代表として世界大会に出場し、自国に初のオリンピック出場をもたらした、そのことが何とも誇らしかった。

 

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延長10回にサヨナラヒットを放つナバーロ

 

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サヨナラ勝利に歓喜するメキシコ代表


先述したとおり、タイガース2年目のナバーロはほとんど1軍の試合に出られなかった。
けれどもナバーロはそんな状況に腐ることなく、2軍で汗を流し、来る時に備えて鍛錬を続けていた。支配下登録への復帰を目指していた横田慎太郎に対して献身的な指導をしていたという話も聞いた。ナバーロは「良いヤツ」だったのだ。

関東に住んでいるとウェスタンリーグの試合を見ることが難しいので、2軍に落ちた選手の姿を見ることはなかなかできない。年に数回行わるファーム交流戦はタイガースの2軍が見られる貴重な機会だ。2019年はタイガースとスワローズのファーム交流戦がヤクルト戸田球場で行われるということで、友人と共に戸田を訪ねた。

だがこの日はあいにくの大雨。駐車場に到着した選手も濡れないよう足早に球場に向かっている。球場までの通路にはタイガースファンが連なっていたが、この悪天候では余裕がなかったか、みんなファンサービスをすることなく球場入りしていた。

だが、ひとりだけ足を止めてファンに向けてサインをし、声援に応えた選手がいた。
ナバーロだ。

そもそも外国人選手がファームの遠征に帯同するのは珍しい。昇格が目前に迫っている場合を除き、ファームの本拠地で調整するのが一般的だ。遠征に参加して大雨の中ファンサービスをしてくれたナバーロは間違いなく「良いヤツ」だった。

あれから2年、再び日本でナバーロのプレーが見られる機会が巡ってきた。結局、開会式でナバーロの姿を見つけることはできなかったけれど、きっと久しぶりの日本を楽しんでくれたはずだ。

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久しぶり。また会えたね。
日本の野球ファンにかっこいいところ見せてやろうぜ!

 

 笑顔で記念撮影をするナバーロ(右から3番目)

 

良い場面で回るのは信頼の証【7/12 対横浜戦◯】

大山のインスタグラムが削除されている。


4番を外れて数試合経った頃だろうか、大山悠輔のインスタグラムのアカウントがなくなっていた。

 

頻繁に更新されていた訳ではないが、実直な人柄が伝わってくる大山のインスタは、ファンにとって楽しみのひとつでもあった。

 

「打順が下がっても打てなかったときには、コメント欄に心無い暴言がたくさん書きこまれた」
そんなウワサも聞くが、アカウントがなくなってしまった今、それも確かめようがない。
そもそも悪口が理由でインスタを削除したのか、野球に集中したくて削除したのか、本当の理由は大山本人にしか分からない。

 

でも、もし、無数の罵詈雑言を見た大山の心が悲鳴を上げていたとしたら……想像するだけで悲しくなった。


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ずっと不思議に思っていることがある。
なんで良い場面で大山に打順が回ってくるのだろう。

 

今さら語るまでもないが、野球というスポーツは最も優れた打者が4番に入る。
打順の構造などいろんな要素があるが、走者を置いた場面で4番打者にまわってくるのはもはや当たり前のことだ。

 

だが大山は4番を外れても良い場面で回ってくる、僕の思い込みかもしれないが、そんな風に感じられた。

 

6番に打順を下げた2019年の対広島戦では、当時クローザーを務めていたG.フランスアからプロ初の逆転サヨナラホームランを打っている。

 

7番でスタメン出場した今年7月8日の対ヤクルト戦も、8回表に同点のチャンスで回ってきたのは大山だった。
この日、大山は試合を決める3ランホームランを打った。

 

打順を下げるのは、プレッシャーのかからない場面で気楽に打ってもらおうという意図があると聞く。
じゃあ大山にとって、打順を下げることはリフレッシュになっているのだろうか。どんなに打順を変えてもチャンスで大山に回ってくる。
ここぞの場面で結果が出なくて、新聞で厳しいことを書かれることもあった。

 

9回に4点を取って逆転サヨナラ。こんな試合滅多にあるものじゃない。


しかもこの回の安打は全部シングルヒット。打席に立った選手が次のバッターへ、また次のバッターへ。

 

そして、つながった打線は4番・大山悠輔にまわってきた。

 

そうか、そういうことか。
良いところで大山に打席が回ってくるのは、チームのみんなが大山に期待しているからだ。

 

これまで何度もチームを救ってきた、その信頼の証なんだ。

そして、大山は期待に応えた。プレッシャーも半端じゃなかったはず。でもそれにも打ち勝った。


チームに勝利をもたらす最後の1点、それは大山のサヨナラタイムリーによってもたらされた。


お立ち台にあがった大山はこんなことを話していた。「いまここには僕一人立ってますけど、本当にチーム全員の勝利だと思うので」

 

チームを第一に考える大山らしい、あまりにも大山らしい言葉だ。

 

でも、あえて言わせてほしい。
今日の試合を決めたのは大山だ。


みんな大山が決めてくれると信じてるから、打線がつながったんだ。 

 

決めたのが大山で良かった。
顔をくしゃっとさせて喜ぶその表情、その笑顔がずっと見たかったから。